組織開発の企業秘密!フラットなコミュニケーションの作り方
Ⅰなぜ組織開発が重要か
組織開発(OD)は、企業の成長と発展を支える重要な役割を果たします。しかし、その実現には多くの課題が伴います。特に難しいのが、役員と社員のオープンなコミュニケーションです。役員と社員のコミュニケーションが円滑でないと次のことが起こります。組織全体のパフォーマンスが落ちる。社員のエンゲージメントやモチベーションの低下が下がり、業績も下がる。優秀社員に限って離職するようになる。
企業内でのコミュニケーションの障害は、しばしば役職や階層の違いから生じます。役員は戦略的な意思決定を行い、会社の方向性を示す立場にあります。反面、現場の実態が分かっていない場合も多いのが実態です。その実態を型通りのヒアリングで取ろうと思ってもできません。社員と間に壁があるからです。その場合リアルな情報での経営判断ができません。それは企業の致命傷です。それを避けるには社員と役員のコミュニケーション回路を開いておく必要があります。社員が感じる現場の問題点、改善点が常に経営層に上がって来る体制があれば企業は成長していきます。
Ⅱ組織開発の最終目的は社員のエンゲージメントとモチベーションの向上
現代のビジネス環境は急速に変化しています。企業が持続的な成長を遂げるためには、内部の組織開発が欠かせません。その最終的な目的は、社員のエンゲージメントとモチベーションの向上にあります。エンゲージメントと、社員が仕事に情熱と組織目標への貢献意欲を持っている状態です。モチベーションは、社員が業務に高い意欲を持ち、成果を上げる内なる駆動力です。
これらの要素は、企業の成功にとって不可欠です。高いエンゲージメントとモチベーションを持つ社員は、生産性が高く、創造性に富み、顧客満足度を向上させることができます。逆に、これが欠けている企業は離職率が高まり、企業全体のパフォーマンスも落ちます。
1 エンゲージメントとは
社員が自らの仕事や組織に深い関心と情熱を持っている状態です。自発的に努力をする意欲も持っています。エンゲージメントの高い社員は、以下のような特徴があります。
- 積極性:業務に対して前向きで、自ら進んで新しい挑戦をする。
- 情熱:仕事に対して強い情熱を持ち、組織の成功に貢献しようとする。
- 貢献意欲:個人的な利益よりも、組織全体の目標達成を重視する。
2 モチベーションとは
モチベーションとは、個人のが何かを成し遂げようとする内的な動機や外的な要因のことを指します。モチベーションには以下の二種類があります。
- 内発的モチベーション:仕事そのものが楽しく、自己実現を感じることから生じる意欲。
- 外発的モチベーション:報酬や昇進、評価など外部からの要因によって高まる意欲。
3 社員のエンゲージメントとモチベーションの向上に必要な要素
⑴明確なビジョンと目標設定
社員が組織のビジョンや目標に共感できるようにする。
目標は具体的かつ達成可能なものであることが必須です。社員一人一人が自分の役割を理解し、どのように貢献できるかを明確にしましょう。
⑵オープンなコミュニケーション
社内の情報共有を円滑にします。そして、個人ではなく組織としてアイデアを出し具体化させる環境を作ることです。
定期的なフィードバックミーティングを実施します。そして双方向のコミュニケーションを促進します。
⑶成長とキャリア開発の機会
社員のスキルアップやキャリア成長を支援する体制を作ります。研修プログラムやメンター制度などがそれに入ります。
社員個々のキャリアパスを明確にします。社員が長期的な視点で自分の成長を見据えられるようにしまss。zzする。
⑷報酬と評価制度の適正化
公正で透明性のある評価制度を導入し、社員の努力や成果を正当に評価する。
金銭的報酬だけでなく、非金銭的な報酬(例:表彰、特別な休暇など)も活用する。
⑸働きやすい職場環境の整備
物理的な職場環境(オフィスのレイアウト、設備など)だけでなく、心理的な職場環境(ストレス管理、ワークライフバランスなど)も重要視する。
フレキシブルな勤務体制やリモートワークの導入により、社員が働きやすい環境を提供する。
Ⅲ組織開発の仕事は泥臭いもの
コンサル会社に組織開発を依頼するのは最悪手
このような組織開発の目的を達成するために、コンサルティング会社に依頼すると、彼らは具体的な施策として社内風土の改善、キャリア開発プログラムの導入、公正な評価と報酬制度の整備などを上げるでしょう。
しかしそれらははっきり言ってアメリカの文献などから無批判に移入した机上の空論です。組織開発はそのようなきれいごとでできる仕事ではありません。それはある意味で「人間の人生観を変える仕事」であり「その人のアイデンティティを再構築する仕事」です。従って人間の心理とどのような刺激にどう反応するかということを、深いところまで理解した上で具体策を実施する必要があります。
役員も含めたフラット&オープンなコミュニケーションの実現方法
そこでここでは、組織開発のために必要な多くのタスクのうちの1つだけ、具体的にどうすればいいかをご紹介します。それは「役員とのフラットでオープンなコミュニケ―ション」を実現にはどうしたらよいか、と言うことです。ただこれだけのことでも、するべきことは、それに関する留意点、仕掛けは以下のような詳細に存在します。組織開発の担当はこれらの泥臭い根回しや、準備、環境整備をすることが必要なのです。
私たちヒューマンパワー研究所は、数多くの組織開発の戦略策定だけではなく、泥臭い現場のオペレーションの経験もそれ以上に豊富に積んでいます。ここではその中から、役員と社員とのフラットなコミュニケーションの場をどう作り、運営するか、と言う非常に具体的な内容について、私たちの企業秘密をお教えします。
ここまで細かく運営ノウハウをブラッシュアップしている、コンサルティング会社はほとんどないと思われます。
Ⅳ「役員と社員とのオープンなコミュニケーションを促進させるための方法
1. ミーティングを挙手型にしないで、車座になって自由に話をする
❶レイアウトは「教室型」ではなく「パーティ形式」で
会議室のレイアウトを変更し、円形や車座になるように配置します。テーブルを使用しない、または小さなテーブルを使用して対等な対話を促進します。
❷席順はくじで決める
席順も前もって決めると「何か意図があるのでは」と社員は絶対に勘繰ります。ですから、くじ引きで決めるようにしましょう。そうすると一部の役員との話しか聞けない、あるいはこの役員の話をこの社員には聞かせたかった、と言うことは発生しますが、それは途中で「席替え」をやはりくじ引きでさせればいいのです。それも同じグループだった人が絶対に一緒にならないように、グループの中で席順のくじを引く、と言う方法をとりましょう。
2.ファシリテーターに成功の70%はかかっている
❶ファシリテーターの具体的な役割とポイント
⑴事前打ち合わせと準備
ナイーブな質問の準備
ファシリテーターは事前に役員と打ち合わせを行い、最もナイーブで聞きにくい質問を準備します。ただし自社の戦略的な問題ではなく「役員の中に派閥があるというのは本当ですか」というような、人事的な疑問などが最もナイーブなので適切です。ここでどこまでタブーに触れられるかで、参加者は「そこまで聞いても大丈夫なんだ」と、聞きたいことが聞けるようになります。当然役員も、「ここだけの話だが」という言い方で、ある程度の本音を語ることが重要です。
役員のトレーニング
役員に対して、NGな対応を事前にしっかり理解してもらいます。具体的には「率直であること」。たとえば役員レベルの機密事項であれば、きちんと「悪いが、これは役員間だけの機密事項なんだ。しかしかなり役員間で腹を割って話しているから、社員の皆さんの気持ちに沿った方針が出ると思う」など、答えることが重要です。「君はそれは知らなくていい」や、お茶を濁すようなことはNGです。また厳しい批判が出た時に、役職の持つ権限でそれを否定することもNGです。たとえば「君は私を誰だと思って聞いているんだ」などがそれです。
また役員の準備のために、想定質問を事前に渡しておくことも重要です。この内容は、自分自身が役員に聞きたいこと、昼食の時などに出る会社批判などの中から、拾っておきます。
⑵サブファシリテーターの用意
パーティ形式でミーティングをする場合、各テーブルにファシリテーターが必要です。これは事前に、選定し前もって今回の目的、ミーティングの仕掛けとその目的、効果、ミーティングの回し方のポイントを打ち合わせましょう。
途中で席替えがありますが、それにはサブファシリテーターは入らずに、進めます。
❷環境設定
⑴フラットなレイアウト
ミーティングの場を車座に設定し、役職の違いが感じられないようにします。テーブルは最小限にし、全員が対等に見える配置にします。
⑵スカスカにならないような席の設定
参加者同士の席の間隔が広いと、なかなかフランクな発言は出ません。できるだけ小規模な(最大5~6人)のテーブルにして、出席者の間は10~20cmしかない、と言うようにしましょう。
⑶ポリシーの宣言
ミーティングの最初に、ファシリテーターがこのミーティングは、お互いに人間として参加してもらっている。従って役職は関係なく、フラットに話をしてほしい。そのことは役員に了解を取っている(役員に確認する)。
またここでの発言がどのようなものであっても評価や懲罰には絶対に影響しないことも宣言し、同様に役員に確認する。
⑹普段の気持ちでの参加を促す
小さなことだが、会議中は許可を取らずにトイレに行っていいということも宣言する。また各テーブルにはアメなどを措いて自由に食べていいと伝える。
カジュアルな交流の場にする
もしも就業時間以降に実施できる場合は、人事に断った上でアルコールを入れる。ただし強要しないこと、お酌をしなくていいように缶タイプにする、ソフトドリンク、アルコール度の薄いドリンクも用意するなどにも留意する。上着、ネクタイは外す。
役員の組織的権威を一時的に消去する
ミーティング中は約色とは関係なく全員「さん」付けで呼ぶことをルールにとする。
室内環境への配慮
特に温度が適切かをに留意しましょう。居心地の良い環境が」自由な意見を引きだします。
❸ミーティングの進行
⑴アイスブレイクゲームのあと自己紹介を
ミーティングの最初に軽いアイスブレイクを行い、参加者の緊張を和らげます。まず身体を動かすアイスブレ宇久をしましょう。会場から大きな笑い声が出るようなものが望ましいでしょう。たとえば「あっちむてほい」でもいいのです。その後に、口頭でのアイスフブレイクも行いましょう。自己紹介などは型にはまって全くアイスブレイクになりません。自分が好きだったアイドルは誰か、自分を動物に例えると何か、その理由は。などの普通のオフィシャルなミーティングでは絶対に出ない質問を用意しましょう。
⑵役員の個人的経歴を話してもらう
役員が参加者と同じ程度のキャリアだった時の話をしてもらう。特に上司から叱られた経験、1番凹んだ経験、1番うれしかった経験を話してもらう。
⑶ナイーブな質問の実施
その上でミーティングに入ります。最初はファシリテーターが役員に事前に打ち合わせたナイーブな質問をします。例えば「最近のリストラはなぜ必要なのですか」。「高齢の平社員でもその技術や知識で助けられることがたくさんあります。このような知見を会社はどのようにしようと考えていますか」。などの質問です。「人事」問題への関心が高いはずなので、それに沿った内容の質問をしましょう。
ここでどこまでナイーブな質問に突っ込めるかが、ミーティングの成否を決めます。何を聞いてもOKだと社員に示すことです。それがこの後に社員から本音が出るか。そして解決策を自分で言いだすか。ミーティング後にエンゲージメントとモチベーションが向上するか。決定すると言ってもいいでしょう。
⑷適切な時間での休憩と席替え
1セッションは50分をめどにしてます。その後10分の休憩をはさみます。そして次のセッションの前にやはりくじ引きで席替えをします。ここでは、1人の役員と親しくなることが目的ではありません。自社の経営陣に対する信頼を醸成するのが目的です。従ってできるだけ多くの役員とフランクに話ができるようにすることが重要です。
また人間の集中できる時間は1時間です。それ以上続けても、話が雑談に流れたり、しゃべる人間が特定するだけです。ですから50分で1回切りましょう。
❹終了後のフォロー~開催レポートの作成
ミーティングが終了したら、参加者には匿名で簡単に感想を書いてもらいましょう。内容は、ミーティングへの5段階評価、また実施してほしいかの5段階評価、フリーの感想だけで大丈夫です。
役員には実名で、比較的詳しく感想をもらいましょう。役員からは評価や実施意向は取らずに感想だけでOKです
そしてそれをB4で1~2枚のレポートにまとめ、全社員に配布し、次回予定日も記載しましょう。
まとめ
フラットなコミュニケーションは社員を活性化させる
社員が率直に意見を述べられる環境を整えるためには、ミーティングの形式やレイアウトを工夫し、あらゆる社内階層上の壁を取り払うことが重要です。また、発言が評価や処罰に影響しないことを明確にし、役員が一人の人間として接する姿勢を示すことで、社員が安心して意見を述べられる環境を整えましょう。これらの取り組みを実践するとで、①組織内のコミュニケーションが活発化する ②自社に対するエンゲージメントが向上する ③自分の中の疑問が解消してモチベーションが向上する、と言うことが期待できます。
参加する役員には理解してもらうまで打ち合わせる
ただし、このようなフラットなミーティング運営についてなかなか理解しない頭の固い役員もいるのが事実です。その場合でも、その役員との話し合いの時間をしっかりとって、現状の社員の世代的特徴、フラットなミーティングによって何が期待できるか、それによって自社がどのように変わるか可能性が生まれるか、ということを理解してもらいましょう。ある意味で、せっかくいいミーティングを実施して、社員から評価が高くても、自分自身の役員からの信頼が失われては意味がありません。ですからこの「根回し」はしっかり行いましょう。ただしその際に、アメリカの理論やカタカナの専門用語などが絶対に用いないことをお勧めします。
また参加していない役員、管理職にも内容を理解を促す
このような新しい試みは必ず参加していない役職者から批判が起こり、参加してモチベーションの上がっている社員のそれを下げようとします。そうならないように、内容の詳しい報告をしましょう。またそういう管理職を2回目以降のミーティングの参加者にすることも重要です。
組織開発は、企業の成長と成功に不可欠な要素です。初めて組織開発マネージャーに任命された方にとって、その役割を果たすためには、明確な目的を持ち、具体的で非常に細かいな手順を踏み、効果的な方法を駆使することが重要です。組織開発を通じて、社内風土の改善や縦割り組織の解消、協業の促進を実現し、企業全体のパフォーマンスを向上させましょう。
以上の点は公式サイトの中に「組織改革コンサルテーション」として若干掲載していますので、よろしかったらぜひご覧ください。
個々の会社様の実態に合わせて組織開発の戦略策定から実施までワンストップで支援します
ただしこのような案件は、企業体質、企業風土、企業の歴史、社員の意識などによって、全ての会社様が異なります。ですから私たちヒューマンパワー研究所はパッケージで解決策をご用意していません。全てご担当者、あるいは管理職様、役員様、場合によっては社長様とご面談し、同時に社員様とインタビューした上で、組織開発・改革の方向、具体的な戦略をご提案します。(こちらのページをご覧くださいどうぞ)
その上で、社員様がそれを自ら実施できるようにトレーニング致します。社員様では実施が難しい部分は私たちが実施して、学んでいただきます。この内容についてご質問、ご相談がありましたら、お気軽にこのフォームからご連絡ください。
私たちの企業秘密を全てお見せして、御社の組織を最強でしなやかなのものにするお手伝いを致します。