力はあるのに消極的な部下のやる気の出させ方~Z世代育成法

力があり頭もいいのに、消極的な若手社員が増えています。彼らをどう動機付けたらいいのでしょうか。

Ⅰ はじめに

近年、多くの企業がZ世代の若手社員との接し方に悩んでいます。Z世代は、デジタルネイティブとも言われます。つまり現代の仕事環境にはぴったりのスキルを持っているのです。

しかし一方で彼らは慎重で消極的な態度を取ることが多いと言われています。

このような若手社員のモチベーションをどう高めていったらいいか悩んでいる。そういう方も多いのではないでしょうか。

Ⅱ Z世代の特徴とその原因

Z世代は、承認欲求が強く、同時に集団からの排除を恐れる傾向があります。そのため、ミスや失敗を恐れます。同時に仲間の中で目立たないように行動するようにしています。これは小学校から高校までの「いじめ問題」に根本要因があると考えられています。学校生活でいじめの対象になることを避けるには目立たないことが重要だったのです。それが精神に沁みついてしまっていることが、彼らの仕事への態度にも反映されています。

実際のZ世代の傾向

その証拠は文部科学省が発表した「いじめ問題に関する調査報告書」にも見られます。この報告書から約70%の生徒がいじめられないために、目立たないように行動する、とわかっています。これが社会人となった後にも影響しているとされています(文部科学省, 2022年)。

Ⅲ 消極的な部下のやる気を引き出すには?(Z世代の動機づけ)

「力はあるのに、どうも消極的だ」「もっと前向きに仕事に取り組んで欲しい」という部下のモチベーションを上げるには、彼らの特性を理解し、適切なアプローチを取ることが重要です。

1 彼ら・Z世代のモチベーションの根幹

Z世代のモチベーションの根幹は「仲間外れにならないこと」「承認されること」です。例えば、次のような行動が見られた場合、これが推測されます。

  • 会議中に自分の意見を出さないが、後で個別に意見を述べる。
  • 同僚と調和を重視し、意見の対立を最も恐れる。そのため最後まで議論しないで、個性の問題に帰着させて済まそうとする。
  • 提案や意見を書面で求めた場合、匿名にすると非常に集まる
  • 全員の前でホメられることを嫌がる。しかしホメないとやる気を極端に失う。上司への信頼感も落ちる。
  • 個人競争よりもチーム同士の競争の方がモチベーションが上がる。

2 Z世代の精神構造のメリットとデメリット

メリット

  • チームワークを重視し、他者との調和を大切にする。
  • 目標に向かって集団で行動する能力が高い。

デメリット

  • 承認欲求が高く、フィードバックが不足すると自信を失いやすい。
  • 挑戦的な目標に対して消極的になりやすい。

Ⅳ 彼ら・Z世代のモチベーションを上げるための接し方

Z世代の部下のモチベーションを上げるには、以下の対応が必要です。すなわち彼らの特性に合わせた具体的な接し方や目標設定をすることです。ここでは、彼らのやる気を引き出すための4つの方法を具体的に解説します。


① 目標設定の仕方

大きな目標ではなく、少し頑張れば達成できる目標を設定すること

Z世代の社員は、大きな目標やプレッシャーに対して不安を感じることが多いです。そこで、彼らにとって「少し頑張れば達成できる」小さな目標を設定しましょう。失敗の危険性がないことで彼らはやる気になります。またこの目標を達成させて自信をつけさせる。少しずつ成功体験を積み重ねる。ということでモチベーションを上げることができます。

具体例

「今月中に売上を10%増やす」という大きな目標ではなく、「今週は3件の新規顧客を獲得する」など、短期間で達成可能な目標を設定する。

接し方のポイント

「この目標なら、君なら十分に達成できるよ」と具体的な根拠を示し、適度なプレッシャーを与えつつも、成功する可能性が高いことを強調します。


② ミーティングの仕方

リラックスした雰囲気で行い、前もってきちんとスケジュールを開け、プライベートな話題から始める

Z世代はリラックスした環境でのコミュニケーションを好み、また「自分の時間」を大切にします。ミーティング前にスケジュールを明確にし、緊張感を和らげるために、最初にプライベートな話題を持ち出すことが有効です。これにより、彼らは心理的な安心感を得やすくなります。

具体例

ミーティングの冒頭で「最近の週末はどう過ごしている?」などの個人的な話題を挟み、リラックスした雰囲気を作り出します。

接し方のポイント

「日頃の頑張り、ちゃんと見ているよ」と、彼らが日々行っている努力にしっかりと目を向け、適度に褒めることで信頼感を深めます。


③ 同僚、メンバーの様子を聞く

彼らの職場での人間関係や、メンバーとの関わりの状況を確認する

Z世代は仲間とのつながりや集団内の立ち位置に敏感です。定期的に、彼らが同僚やメンバーとの関係についてどのように感じているかを聞くことで、安心感を与えることができます。また、人間関係のトラブルがあれば、早期に解消する手助けをすることも大切です。

具体例

「最近、チーム内で何か問題はない? みんなとうまくやれている?」と、状況を確認します。

接し方のポイント

ただ状況を聞くだけでなく、「もし何か困っていることがあれば、いつでも相談してね」とサポートの姿勢を明確に示すことで、彼らが安心して働ける環境を作ります。


④ 同僚、メンバーへのサポートの行動を評価し、今後の方策を相談する

チーム内でのサポートや助け合いの行動も評価し、彼らが貢献していることを認める

Z世代は、他者に対する支援や協力に対しても高い価値を置いています。彼らが同僚を助ける行動や、チームの一体感を維持するために行ったサポートに対しても、しっかりと評価することがモチベーション向上に繋がります。

具体例

「○○さんをサポートしてくれたこと、助かりました」と具体的な行動を指摘し、その貢献を称賛します。

接し方のポイント

彼らに「今後もどうすればもっと良いチームサポートができるか」を相談し、彼ら自身が課題解決に参加していると感じさせることで、さらなるやる気を引き出します。

Ⅴ 結論

Z世代の部下に対してやる気を引き出すためには、彼らの心理的特性を理解し、適切なアプローチを取ることが重要です。小さな成功体験を積ませ、調和を重んじる彼らの価値観に寄り添いながら、承認欲求を満たすことが鍵となります。消極的な部下でも、正しい方法で接すれば大きな成果を上げることができます。

もしも消極的なZ世代部下への対応にお困りの場合は、ぜひこちらまでお気軽にご相談ください。

またこのような問題は「力があっても消極的」な部下の場合だけではありません。「アイデアがあっても実行力がない部下」の場合。「周囲から孤立して実績は出すが後輩を育成できない部下」の場合。など多岐にわたります。そのような問題も実は全て1つの「部下育成理論」で解決できます。具体的なことはこちらをご参照ください。この理論の御社への導入についてもこちらからお問い合わせください。