Z世代育成法~チームの友好関係優先の社員をやる気に
Ⅰ Z世代を生かさない企業は成長しない
Z世代とは、一般的に1990年代後半から2000年代に生まれた世代を指します。ミレニアル世代(Y世代)に続く世代として位置づけられています。
1 Z世代の特徴
Z世代は、デジタルネイティブ世代とも呼ばれています。幼少期からインターネットやスマートフォンに囲まれて育った世代です。そのため、以下の特徴が挙げられます。
- デジタルネイティブ: スマートフォンやSNSを日常的に使いこなします。デジタルツールへの適応能力が高いです。
- 多様性と包容性: 性別、年齢、国籍など、多様な価値観を尊重します。多様性を積極的に受け入れます。
- 個人主義: 自我を大切にし、自分の意見を積極的に発信する。
- 目的意識: 社会貢献や環境問題などに強い関心を持ちます。社会に対してポジティブな影響を与えたいと考えています。
- 現実主義: 現実的な視点を持って物事を考え、安定した生活を求める傾向があります。
2 Z世代の人口比と年齢
- 人口比: 世界全体で見ると、Z世代は総人口の約3分の1を占めます。非常に大きな割合です。特に、先進国ではミレニアル世代を上回る勢いで人口が増加しています。今後ますますその影響力が大きくなるでしょう。
- 年齢: Z世代は1990年代後半から2010年代初頭に生まれた世代とされています。2024年現在、年齢は20代前半から30代前半が中心となります。
3 Z世代は幹部社員候補
Z世代が企業で占めるポジションは、その世代が社会に出始めたばかりということもあり、新卒社員や若手社員が中心となります。しかし、デジタルネイティブ世代であるZ世代は、テクノロジーに精通しており、新しいアイデアやスキルを積極的に取り入れることができるため、企業は彼らのポテンシャルを生かし、リーダーシップを発揮させていくことが、今後の成長のためには必須なテーマです。
Ⅱ Z世代は「いじめ」世代
近年、企業においてZ世代の社員が増加しています。彼らはデジタルネイティブ世代として、テクノロジーに精通しています。また多様性や柔軟性を重視する特徴を持っています。しかし一方で、学生時代の「いじめ」などの経験から、周囲との友好関係を優先する。リーダーシップや積極性を発揮することをためらう。と言った傾向も見られます。
1 Z世代の特徴:いじめ経験と友好関係の優先
Z世代の多くは、学生時代にいじめなどの経験を抱えています。彼らはいじめから身を守るために、周囲との関係を良好に保つことを最優先にしました。その結果、リーダーシップや積極性、自立心が育ちにくくなってしまいました。この特性が社会に出ても現れています。
このためZ世代は、仕事の成果より周囲との関係を良好にすることを最優先にします。ですからミーティングなどしても意見を述べません。しかし匿名でアンケートを取ると様々な意見、アイデアを発信します。
2 Z世代の特徴を生かして企業の業績向上に貢献させるには
Z世代の社員は、目標達成よりもチームメンバーとの良好な関係を優先します。換言するなら、彼らの価値観は、個人の成功よりも、共同体や人間関係の調和を重視しているということです。
では、どのようにすれば、このようなZ世代のモチベーションを高められるでしょうか?そして目標達成へと導くことができるのでしょうか?以下ではZ世代のモチベーションを高めるための具体的な方策を3点挙げます。それは、チーム志向を生かす、特別扱いしない、隠れた積極性を引き出す、です。
Ⅲ Z世代の3つの育成ポイント
Z世代は、多様性や個性を尊重します。一方で、チームワークや社会貢献にも高い関心を寄せています。彼らを育成する上で特徴を活かす。より高いパフォーマンスを引き出す。そのためには、以下の3つのポイントが重要です。
1. チーム志向を生かす
Z世代は、チームで協力し、共通の目標に向かって進むことを好みます。このチーム志向を生かすためには、以下の様な方策が考えられます。
①プロジェクトベースの学習
- チームで一つのプロジェクトを遂行し、目標達成に向けて協力する経験を積ませます。
- 各メンバーの役割分担を明確にし、それぞれの強みを活かせるようにします。
- プロジェクトの進捗状況を定期的に共有しましょう。それによってチーム全体の目標達成に向けて意識を高めます。
②多様なバックグラウンドを持つメンバーとの交流
- 異なるバックグラウンドを持つメンバーとチームを組ませます。多様な視点から問題解決に取り組む機会になります。
- 相互理解を深め、お互いを尊重し合う姿勢を褒めましょう。ただし全員の前ではNGです。1on1の時などが最適です。
③チームでの目標設定と評価
- チーム全体で達成したい目標を設定し、その達成度をチーム全体で評価します。
- 個人の貢献度の評価。そしてチーム全体の成果を評価。この両方を行いチームワークの重要性を認識させましょう。これは同時にチームの達成感を得させ、絆を強くします。
2. 特別扱いしない
Z世代は、自分たちが特別扱いされることを好みません。むしろ、公正な評価を求め、成長できる機会を求めています。
①公平な評価制度:
- 成果に基づいた公平な評価制度を導入し、透明性を確保します。
- 個人の努力や貢献をしっかりと評価し、フィードバックを行います。
②成長機会の平等な提供:
- 全員に平等に成長できる機会を提供し、キャリアパスを明確にします。
- 研修やセミナーへの参加、異動の機会などを平等に与えます。
③世代間の連携:
- Z世代だけでなく、他の世代の社員とも積極的に交流できる機会を設ける。
- 世代間の連携を促進することで、お互いを尊重し合い、学び合う環境を醸成する。
3. 隠れた積極性を引き出す
Z世代は、自分の意見を積極的に発信しません。その一方で、内面に強い向上心を持っています。
①安全な意見交換の場の提供:
- 失敗を恐れずに意見交換できるような、心理的に安全な環境をつくります。
- 新しいアイデアや提案を歓迎する姿勢を示します。
②目標設定の支援
- 個々の目標設定を支援し、達成感を味わえるようにします。
- 小さな目標から始め、徐々に難易度を高めていきます。
③フィードバックの強化
- 定期的なフィードバックを行い、成長を促します。
- 具体的な行動から改善点を指摘します。そしてその行動がもたらす結果を説明します。
Ⅳ Z世代のモチベーションを高めるための具体的な方策
1. 安全な環境づくり
- 心理的安全性: 失敗を恐れずに意見交換できる心理的に安全な環境を作る。同時に匿名性を確保した意見の発表方法を導入する。
- 多様性の尊重: 個人の違いを尊重し、多様な意見を歓迎する姿勢を示しましょう。
- ハラスメント防止: いかなるハラスメントも許さないという強いメッセージを発信します。安心して働ける環境を整えましょう。
2. 目標設定の支援
- スモールステップ: 大きな目標を達成するのが難しい場合は、小さな目標を複数設定し、達成感を味わえるようにしましょう。
- 目標の共有: チームメンバーと目標を共有し、一緒に達成に向けて取り組む意識を高めましょう。
- 進捗管理: 定期的に進捗状況を確認し、フィードバックを提供することで、モチベーションを維持しましょう。
3. 成長機会の提供
- スキルアップ研修: 新しいスキルを習得できるような研修機会を提供することで、成長意欲を高めましょう。
- キャリアパス: 将来のキャリアパスについて明確なビジョンを示し、目標に向かって努力する意欲を刺激しましょう。
- 挑戦の機会: 新しい仕事に挑戦できる機会を与えることで、達成感と自信を高めましょう。
4. 承認と感謝
- 個人へのフィードバック: 個人の貢献を具体的に評価し、感謝の言葉を伝えましょう。
- チーム全体の称賛: チーム全体の成果を称賛し、一体感を高めましょう。
- インセンティブ: 目標達成に対して、適切なインセンティブを与えることで、モチベーションを高めましょう。
Ⅴ Z世代とのコミュニケーションの取り方は課題解決の根幹
1 Z世代とのコミュニケーションと1on1ミーティングの進め方
Z世代とのコミュニケーションは、従来の世代とは異なるアプローチが求められます。特に1on1ミーティングでは、彼らの価値観や働き方を理解し、効果的な関係構築が重要です。
①目的を明確にする
- 事前の準備: 毎回のミーティングに具体的な目的を設定しましょう。「キャリアパスについて話し合う」「最近のプロジェクトの進捗を確認する」など、テーマを絞ることで、より有意義な会話ができます。
- 共有: ミーティングの目的を事前に共有することで、相手も準備ができ、より深い議論が可能になります。
②傾聴を心掛ける
- 共感: 相手の話を遮らず、最後まで聞く姿勢を示しましょう。共感の言葉や相槌を打つことで、相手は安心して自分の意見を話せるようになります。
- 質問: 相手の発言に対して、具体的に質問を投げかけることで、より深く理解を深めることができます。オープンな質問(「最近、どんなことに興味がありますか?」など)や、具体的な質問(「プロジェクトで最も苦労した点はどこですか?」など)を組み合わせることで、多角的な情報を得ることができます。
③相手の意見を尊重する
- 価値観の多様性: Z世代は多様な価値観を持つため、自分の価値観を押しつけないように注意しましょう。相手の意見を尊重し、異なる視点から物事を考えるように心がけましょう。
- フィードバックの仕方: フィードバックを与える際は、具体的に行動を指摘し、改善点とともに、その行動がどのような結果につながるのかを説明しましょう。否定的な言葉ではなく、建設的な言葉を選ぶことが大切です。
④キャリア開発のサポート
- 目標設定: 相手のキャリア目標を明確にし、それを達成するための具体的な行動計画を一緒に考えましょう。
- 成長機会の提供: 相手のスキルアップにつながるような研修やプロジェクトへの参加を提案しましょう。
- キャリアパス: 長期的なキャリアパスについて話し合い、将来の目標に向かって一緒に進んでいく姿勢を示しましょう。
⑤信頼関係の構築
- 信頼: 信頼関係は、継続的なコミュニケーションを通じて築かれるものです。日頃から誠実に接し、約束を守るようにしましょう。
- プライベートの話: 仕事の話だけでなく、プライベートな話も積極的にすることで、より人間関係を深めることができます。ただし、過度に踏み込みすぎないように注意しましょう。
2 Z世代とのコミュニケーションにおける注意点
①デジタルツールを活用
Z世代はデジタルツールに慣れているため、SlackやTeamsなどのコミュニケーションツールを活用することで、よりスムーズなコミュニケーションが可能になります。
②柔軟な働き方
Z世代はワークライフバランスを重視するため、フレックスタイム制やリモートワークなどの柔軟な働き方を導入することで、モチベーション向上につながります。
③多様性と包容性
Z世代は多様性を重視するため、性別、年齢、国籍など、様々な背景を持つ人々を受け入れる環境づくりが重要です。
④スピード感
Z世代は変化を恐れず、新しいことに挑戦したいという意欲が高いです。意思決定を迅速に行い、スピード感を持って仕事を進めることが求められます。
Ⅵ まとめ
Z世代を伸ばすことが自社の成長につながる
Z世代とのコミュニケーションは、彼らを理解し、尊重することが大切です。1on1ミーティングを効果的に活用することで、信頼関係を築き、彼らの成長をサポートすることができます。
Z世代社員のモチベーションを高めるためには、彼らが持つ特徴を理解し、それに合わせた働きかけを行うことが重要です。安全な環境づくり、目標設定の支援、成長機会の提供、承認と感謝といった施策を組み合わせることで、Z世代社員のポテンシャルを最大限に引き出すことができます。
私たちはオールマイティなマネジメント理論と実践方法をご提供します
私たちヒューマンパワー研究所は以上のようにZ社員に限らず、相手の多様な特性に応じたマネジメント方法、育成メソッド、コミュニケーションの取り方を1万人の統計解析をベースに開発しています。実はここで挙げた「Z世代への対応方法」も、その方法の中の1つです。
ですから私たちは、相手がどのような特性の社員であれ、モチベーションを上げて成長させ、企業業績に貢献させる、という育成方法を持っております。この育成方法は、マネジメント層への集合研修でも実施できます。あるいは、マネジメント層とのカウンセリングでマネジメントスタイルを現代にあった内容にブラッシュアップさせることも可能です。またはZ世代本人を私たちがカウンセリングして、モチベーションを上げ、積極性を引き出すことも可能です。
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