「自分に合ったやり方」以外を強制されるとモチベーションは急落する


2019年に中日ドラゴンズに入団した根尾昴という選手がいます。高校野球では少なくありませんが「エースで4番」の選手でした。しかし入団時に彼は

「ポジションはショート一本でと言わせてもらいました。高校1、2年で決めていた」

日刊スポーツ2018年11月8日 https://web.archive.org/web/20200107153229/https://www.nikkansports.com/baseball/news/201811040000688.html

と、野手に専念する意思を示しました。しかし入団後なかなか才能が開花せず、プロ野球では異例ですが2022年に野手から投手にコンバートされました。そのことについての根尾選手のコメントです。

「前例のないものに取り組むやりがいですか? ないです。楽しさもやりがいもないですよ。必死です」

NumberWeb 2024年3月5日 https://number.bunshun.jp/articles/-/860831?page=2

隠していますが彼は「必死」ではあるものの「投手コンバート」に対してはモチベーションが上がっていないようです。

このように「自分の希望する」「自分にあった」方法や役割をさせてもらえない時、人はモチベーションが下がります。

これはモチベーションを考える上で非常に重要な点です。

あなたのモチベーションは上がるが、私は上がらない

人は自分の成功体験をベースに物事を考える傾向にあります。野球の話が続きますが、たとえば自分がランニングを繰り返すことで力がついたと思う選手は、引退後コーチになっても選手に「走れ、走れ」と強制しがちです。

モチベーションも同様です。やる気がない時に目標を書いた紙を壁中に貼ることで意識を高めた経験のある人は、やる気のない部下に「家の部屋中に目標を貼れ」「スマホの待ち受けも『目標』にしろ」と指導します。

しかしその方法は全員に当てはまるでしょうか?

モチベーションの内容は多様

しかし「モチベーション」の上がる・下がる要因は人によって異なります。右は「下がる要因」のグラフですが、実に多様です。「モチベーションを上げる」要因でも同じことが言えます。

つまりモチベーションの原則は

  • 自分に合った刺激(目標、指導、叱咤激励、環境など)でモチベーションは上がる
  • 自分に合っていない刺激にモチベーションは下がる

と言うことです。

ところがご自分、部下様、お子さんのモチベーションを上げたいとします。その時その人に合った刺激を与えされすればいい。とは簡単になりません。なぜなら

  • モチベーションを上げる要素(刺激)は多様にある。
  • 相手が(自分が)どの刺激でモチベーションが上がるかは分からない。

からです。つまりモチベーションは百人いたら百通りあるのです。

モチベーションの上がる刺激を「SARC」は科学的に推測できる

この問題を解決するために、私たちは非常に大規模な調査を行いました。そしてその結果を回帰分析という統計分析にかけました。

その結果、モチベーションが上がる多様な刺激を以下の4タイプへ分類することに成功しました。

  • Superpersonタイプ
  • Artzanタイプ
  • Relationshiperタイプ
  • Creatorタイプ

さらに、「モチベーションが上がる刺激」は相手の日常の言動とほぼ相関していることも分かりました。つまりある人の日常を観察すれば、どうしたらモチベーションが上がるか、が分かる、ということです。

この「タイプ推定、適切な刺激」のセットを私たちはモチベーション理論「SARC」と名付けました。

「SARC」をマスターすれば、

  • 部下、お子さんの「やる気」を上げる
  • 苦手な上司との付き合い方、ホウレンソウの仕方が分かる
  • 顧客がその気になるようなプレゼンテーション、商談の仕方が身に付く
  • 自分のやる気を自分で上げる

と言うことの全てが可能になります。

サイトの中から簡易版「SARC」判定セットをダウンロードできます。まずそこからご自分、部下、お子さんのモチベーションのタイプを知ってください。