AI時代に「リスキング」は本当に人に力を与えるか

AI時代になっても生き残る仕事はあります

「リスキング」という言葉を最近よく聞きませんか?

最近、多くのメディアや業界専門家が「リスキング」という概念に注目しています。例えば、米国のビジネス誌であるForbes以下のように述べています。AIの進化による仕事の変革に焦点を当て、リスキングに関する重要性が高まっている。AIが多くの業界で自動化や効率化をもたらします。一方その中で個人が新しいスキルや能力を身に付ける必要性について論じています。

Forbesの記事は次のように述べています:

AIの進化によって、多くの従来の仕事が自動化され、職業の変革が進行しています。そのため、個人が新たなスキルや能力を身に付けることが重要となっています。このような状況下で注目されているのが、リスキングと呼ばれる概念です。リスキングは、個人がAIや自動化による仕事の変革に対抗するために新たなスキルや能力を身に付ける取り組みを指します。

このように、Forbesの記事はリスキングに関する重要性を強調しています。AIで仕事が変革しても、個人はリスキングで自分の価値を維持できるということです。他のメディアや専門家も同様の意見です。この概念は広く認識されていることが伺えます。

つまりAIが進化してくると、今までしていた仕事がAIに取って代わらます。ですから人は新しい「スキル」を「再び」身に付けないと失業するということです。

リスキングの定義

リスキングの基本的な定義

ここで改めて「リスキング」の定義をしておきましょう。

リスキングはAIなどの進展による失業を、新たなスキルを身に付けて防ぐことです。具体的には、自分の職業や業界で将来的に必要なスキルや知識を積極的に習得すること。自己成長を促進する取り組み。などを指します。

リスキングは労働者の雇用やキャリアの安定性を確保します。また変化する労働市場に適応できるようになります。

リスキングに含まれる要素

  1. スキルの習得。将来的に需要が減らないコンピューター技術。データ分析。プログラミング。クリエイティブな問題解決能力など。
  2. 学習と成長へのコミットメント。リスキングは、一生涯にわたる学習と成長へのコミットメントを意味します。変化する労働市場に適応するためには、いつもスキルアップやトレーニングが必要です。
  3. 自己マーケティング。リスキングは、自己マーケティングやブランディングにも関連します。自分のスキルや経験をアピールし、雇用機会を確保する努力が求められます。
  4. キャリアの多様化。リスキングは、単一の職種や業界に依存せず、キャリアを多様化することも含みます。複数のスキルを持ち、将来の不確実性に柔軟に対応できるキャリアパスを構築します。

リスキングが注目されている理由

特に人材開発、転職・就職の分野でリスキングが注目されている理由は以下の通りです。

  1. AIの進化。AIの発展で多くの従来の仕事が自動化され、職業の変革が進行しています。
  2. 求人市場の変化。AIにほとんどの仕事が代替され中で、特別なスキルを持つ人材だけは需要が残ります。
  3. 将来のキャリアの安定性への関心。仕事の将来性や安定性に不安を感じる人々が増え、リスキングが注目されています。

リスキングとして多くのメディアが進めている例

英語力の獲得

  • 英語の文脈理解やニュアンスが把握できるレベル。文脈やニュアンスを正確に理解し、適切なコミュニケーションを行える英語力です。言葉の意味だけでなく、言葉の使い方や相手の意図を読み取る能力が含まれます。AIは言語を解析できますが、文脈やニュアンスを理解することまではできません。
  • クリエイティブなコミュニケーションや交渉力。英語でクリエイティブなコミュニケーションや交渉力ができることです。これには、言葉の使い方や表現力、相手の反応に応じた適切な対応が含まれます。AIは翻訳以上の、クリエイティブなコミュニケーションや交渉力は発揮できません。
  • 文化的背景や社会的コンテクストの理解。異なる文化や社会的コンテクストに対応する英語力です。これには、言語の使い方や相手との関係性に関する理解が含まれます。AIは言語を学習することはできます。しかし文化的背景や社会的コンテクストを完全に理解することは難しい場合があります。

士業の国家資格取得

  • 人間の判断や倫理的配慮が必要な業務。法律や会計などの士業には、倫理的な判断や専門的な知識が必要な場合もあります。例えば、法律家はクライアントの権利や法的問題についての助言を行います。そして法律だけでなく個々の状況や人間の感情を考慮する必要もあります。AIはこのような判断や人間の感情を理解することはできません。このような場面では士業の国家資格が必要とされる可能性があります。
  • 複雑な法的問題や業務。法律や会計などの士業は、複雑な法的問題や業務が多く含まれています。AIは大量のデータを処理できます。しかし複雑な法的な判断や曖昧な事案に対する解釈が難しい場合があります。ですから複雑な法的問題の解決には士業資格をもった人間が必要です。
  • クライアントとの信頼関係の構築。士業の国家資格を持つ専門家は、クライアントとの信頼関係を築くことが重要です。法律や会計業務はクライアントの機密や個人情報を適切に取り扱うことが求められます。人間はクライアントとのコミュニケーション信頼関係を築けます。これらの要素はAIにはありません。

メディアが取り上げているリスキングは的はずれ

このようにメディアはリスキングとして様々なスキルを挙げています。しかし実はほとんどAIで代行できるものばかりです。仮に努力してそのスキルを「リスキング」しても、職の安定にはつながらないでしょう。

その理由は先に挙げたリスキングについて言えば以下の通りです。

英語力の獲得

  1. 自然言語処理の発展。AIの言語処理技術が進化すると、人間レベルの言語生成能力を持てるようになります。その結果、翻訳やコミュニケーションの分野で人間はAIに代替されてしまいます。企業は人間の英語力に依存せずに高度なタスクを遂行できるようになります。
  2. 自動生成コンテンツの増加。AIの文章生成力の発展で新聞、レポート、ブログなども自動生成が可能になります。結果、英語力を持つ人間の仕事はAIが行うようになります。
  3. 仕事の自動化と効率化。AIは例えばカスタマーサポート。営業。等を自動応答や文章の生成によって人間に代替するようになります。

士業としての専門知識の習得

  • 専門的な業務の自動化。AIによって法律や会計などの専門的業務も自動化されます。契約書作成や法的文書の解釈、会計処理などは、AIが代行できます。結果的に士業の需要は減少します。
  • データ解析の活用。AIは大量のデータを一瞬で解析できます。法的または会計的な問題は過去の事例の蓄積で解決されることが多いです。つまり士業が行っていた問題解決手法はAIで代替可能なのです。
  • 顧客サービスの自動化。 AIの自動応答機能やチャット機能は、顧客サービスや法的相談の仕事を代替します。
  • コスト削減と競争力の向上。AIが会計、法務、顧客対応を行えば、士業の高額な費用が不要になります。

以上のように、高度スキルだった英語力や国家資格はAIに代替され、価値が低下します。リスキングではAIに代替されにくいスキル、能力を選択する必要があります。

AIに奪われないものは

ではAI全盛の時代になって、私たちが仕事を失わない、むしろAI時代だからこそ力を発揮するスキルには何があるのでしょうか。具体的には以下のものが考えられます。

1. 創造的な発想力

AIはデータからパターンを抽出し、既存の知識に基づいて問題を解決しますが、創造的な発想は人間の独自の能力です。例えば、デザインやマーケティングの分野では、独創的なアイデアが求められます。

2. 人の気持ちに寄り添えるマインド

人間の感情やニーズに対する理解と共感は、AIが模倣するのは難しい領域です。例えば、カウンセリングやコーチングなどの人間関係の構築において、人の気持ちに共感し支援することが必要です。

3. 相手に合わせたコミュニケーション力

コミュニケーションは、相手の個性や状況に合わせて適切なコミュニケーションを行うことが求められます。AIはコミュニケーションを取ることはできますが、人間の感情や文脈を正確に理解するのは難しいです。

4. 仕事にコミットして取り組むこと(志を持って仕事をすること)

人間の意思や情熱は、AIには置き換えられません。仕事に対する情熱や使命感を持ち、コミットメントを持って取り組むことが、人間の強みです。このような志を持った人材は、チームや組織の中で重要な役割を果たします。

結論

リスキングは、AIや自動化の進展によって仕事が奪われるリスクに対抗するための重要な取り組みです。英語力や国家資格取得などの従来のスキルも重要ですが、創造性、共感力、コミュニケーション能力、志など、人間独自の能力や特性も重要です。むしろこの力を持った従業員をどれだけ抱えているかによって、企業の成長力が変わってくると言ってもいいでしょう。ですからこれらのスキルと能力を身に付けることで、AI時代においても価値ある存在となることができます。

ご提案

上で挙げた発想力、マインド、コミュニケーション力、志は実はあなたは既に持っています。しかし多くの場合、それらは潜在的なもので表に出て来てはいません。それを自分の中から引きだすには、何らかの刺激が必要です。

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