コーチングの理念を生かし、実戦に取り入れる

「答えは相手の中にある」というコーチングの理念は素晴らしい。捨てるには惜しい。

「コーチング」の理念は「答えは相手の中にある」という素晴らしいものです。ただし「全員の」中に答えがあるわけではありません。あくまで「『地頭の良い人』の中には答えがある」ということです。

ですから効果のある人にだけコーチングを行い、それ以外の人には違う方法で指導・育成を行って、全員が「自分は上司から大切に扱われている」と感じさせることが、組織運営上、非常に大切です。

つまりこの「人によって『指導、育成方法』をコーチングにするか、ほかのものにするかを変える」ということが、組織マネジメントの中でコーチングを生かす「やり直しコーチング」というメソッドなのです。

では具体的にはどうしたらよいのでしょうか。

「地頭の良しあし」の判断方法

まず相手の地頭が良いかどうか、ということをどう判断するかです。

しかし意外にこれは簡単です。1対1で面接をし、最初だけコーチングの手法で「今の自分の仕事の問題は何?」「どのように解決するつもり?」の2つを投げかけるだけです。

もちろん、相手の答えには「オウム返し」をしながら、話を続けましょう。

この時に「平凡な・当たり前の答え」しか言えない人、「黙り込んでしまう人」は地頭が良くありません。

相手の地頭が良いかどうかは1対1で2つだけ質問をすれば分かります。

子頭の良い人には、コーチングのメソッドでオウム返しをして自分で答えを探す手伝いをすればいいだけです。

地頭の良い人への接し方

この人にはまさに「コーチング」をすればOKです。

  1. まず相手がどう考えているか聞く
  2. 問題があれば質問する
  3. 問題解決手法が分かっていない場合は「こうなったら、あなたはどうするのかな?」と聞き、オウム返しで相手の答えを引きだす
  4. 問題解決の手法が分かったらあとは任せる

ただしこれはあくまで「心技体」で言えば「技」の話であって、「モチベーション」つまり「心」の話はまた別です。

モチベーションは既にご紹介している「SARC」理論によって相手のタイプを特定し、相手にあったアプローチで上げることが必要です。「コーチング」と「タイプ別モチベーションの上げ方」は両輪だと考えてください。

ただ「全体の3割が『地頭の良い人』」と言いましたが、「SARC」の4タイプの中に均等に3割づついるわけではないことに注意してください。

私たちもまだその統計的な検証はしていませんが、研修やカウセリングをして来た中での実感で言えば「Sタイプは地頭の良い人が多い」という印象があります。

しかし、メンバーのメンタルを気にするRタイプにも「地頭の良い人」はいます。その人には、

「●●さんからは木が感じられないけれど、どう思う?」「どう接したらいいのかな?」
「誰に任せればいかな?」

とコーチングで接しましょう。

「技」「心」は混同しないで、それぞれの適切な対応をすることが大切です。

地頭の良くない人には「トレーニング」

地頭の良くない人に対して指導・育成の手を抜くのは絶対NGです。特に先ほども書いたように、地頭の良い人ばかりと親しく接して、それ以外の人に疎外感を持たせるようなことは絶対に慎みましょう。なぜなら彼・彼女たちも重要な戦力であることは、地頭の良い人と同等だからです。違いは「伸びしろがあるか・ないか」だけなのです。

ではどう指導するかというと、「やり直しコーチング」の最初で説明した通り「トレーニング」です。これは「練習」の意味ではありません。

「コーチング」が道さえあればどこでも行けるcoachが語源であるように、線路の敷いてある所しか行けないtrainから来ている「トレーニング」です。つまり「内容を明確にして指示・命令」をするということです。

その際、具体的には以下の2つのことを心がけましょう。

地頭の良くない人は伸びしろがないだけで、仕事自体は経験豊富でしっかりと完遂してくれるはずです。従って承認欲求を満たしてあげ、コーチングではなくトレーニングで仕事を指示して、その通りにしてもらいましょう。

トレーニングのコツ1 常に存在を承認する

誰でも「自分は重要な存在で、上司からも大切にしてもらっている」と考えたいものです。つまり承認欲求です。ですから、「地頭の良い人」以上に、いつも承認欲求を満足させましょう。

たとえば以下のようなことです。

  1. 仕事を与える時は「この仕事は●●さんしかできないからな」という
  2. 仕事で成果が上がった時はしっかりほめる
  3. 体調や気分に問題がないか声をかける
地頭の悪い人には、地頭の良い人よりも承認欲求を満たしてあげましょう。

2 トレーニングのコツ2 仕事の内容と手順は明確に指示する

その上で、仕事を任せる時には

  1. まず相手の意見も一度は聞き「肯定」する。
  2. その上で「それをベースに▲▲でしてくれる?」と指示する。
  3. この時相手の意見と▲▲が関係なくても問題ない

ということを心がけてください。

仕事の指示は細かいところまでしっかりと「トレーニング」型で教えましょう。

「やり直しコーチング」へのご質問、ご相談はお気軽にどうぞ。

お気軽にご相談、ご質問ください

同時にほかの社員様も含めた組織全体を活性化させることも可能です。

具体的には

  1. 地頭の良しあしを判別するミーティング
  2. コーチングとトレーニングを相手別に選択する「やり直しコーチング」研修
  3. (必要であれば)組織マネジメント自体の設計と浸透方法のご提案

をさせていただきます(上記の一部でも構いません)。

「コーチング導入に失敗した」とお思いの企業様はぜひご連絡下さい。

<参考図書>「<15分で読める>『コーチング』を使って失敗した私が気付いた、その実戦的な使い方5ヶ条」

「やり直しコーチング」を実践する場合の細かいポイントなどは「『コーチング』を使って失敗した私が気付いた、その実戦的な使い方5ヶ条」で学びましょう。

以上の「やり直しコーチング」に興味を持たれた方はぜひ、参考図書として「『コーチング』を使って失敗した私が気付いた、その実戦的な使い方5ヶ条」をお読みください。

このサイトで述べたことも含めながら、「やり直しコーチング」のポイントを5か条に分けて説明しています。非常に実戦的で、かつ15分で読める簡単な本ですから、気軽に手に取れます。

ペーパーバック902円、電子書籍280円です。