コーチングは「気づき」「潜在能力」を引き出せる優れたスキルです。しかし万人に効果はありません。活用するなら「相手を選ぶ」必要があります。
しかし「コーチング会社」はそのような自社にとって不利益なことをわざわざ言いません。企業様は「これで管理職のマネジメント力が上がる」と信じてコーチングを導入します。しかし当然、期待通りにいかずにがっかりするケースが続出しているのです。
そこで私たちは上記のような企業様が再チャレンジをする方法をご提案しています。「コーチングの長所」だけを活用できる「やり直しコーチング」です。
1 コーチングとは相手に合わせた教え方
日本に「コーチング」の情報が入ったのは、私たちの記憶では1990年代の後半です。
日本で恐らく最も進んだ人材開発理論を展開していた小さなコンサル会社がありました。その社長から「アメリカでは今これが注目の的」と教えてもらったのです。
「馬車(coach)」は線路がなくても自由にどこでも行ける。対して「列車(train)」は決まった線路通りにしか進めない。
つまりcoachingは相手に合わせた自由な教え方である。対してtrainingは最初から決まった道筋で教え込む方法である。
ヒューマンパワー研究所
直感的にそれは素晴らしいと思いました。される側に合わせた教育なら「気づき」「学び」に直結するからです。
そこで早速、その会社に実験的に私たちへの「コーチング」をしてもらいました。
2 コーチングの致命的欠陥は?
しかし自分たちが実際に受講けてみて、コーチングの致命的欠陥に気づきました。
おこがましい話ですが、私たちはそれなりにレベルの高い人材です。(創業時に厳選していますので)。ですから「コーチング」で理論通り「自分の中から答えを見出だす」ことができました。
一方で世のビジネスマンや学生全員にコーチングが通用するか、と疑問も持ちました。
3 実戦投入は見事に失敗
そこで答えを出すために、ある程度のサンプル数を確保して、再度実験してみました。
当時、私たちはある企業様の組織改革のプロジェクトを展開していました。そこでその企業様で、テスト的に「コーチング」を実施したのです。
対象者はその企業様の社員様十数名、担当は先のコンサル会社の社長です。参加者はコーチングの最大の特徴である「オウム返し」などを中心に面談されました。
その結果、参加者の反応は
- 期待以上の答えを出せる人間
- 平凡な答えしか出せない人間
- 答えが出ずに固まってしまう人間
ときれいに分かれてしまいました。
つまり「コーチングの効果が出るかどうかは相手次第」なのだと私たちは判断しました。
「コーチング理論」は対象者全員が上の分類の1になる、というものです。しかし実際にはその通りにはなりません。
多分コーチングの効果は「相手の地頭の良しあしに左右される」のです。そこでヒューマンパワー研究所としてはコーチングは扱わないことにしました。
4 「コーチング」を売る研修会社は増加。でも問題点はそのまま
1990年代になってなぜか評判に
それから20年ほど経った頃「コーチオング」という言葉はメジャーになりました。それも肯定的な評判をつけてです。
まあ、評判はコーチング会社が流しているので話半分なのでしょう。
しかし人材開発業界で「コーチング」を売りにする会社は飛躍的に増えました。ということは「コーチングのスキル」が抜本的に改善されたのかも知れません。
再度コーチングの効果を実験
その時、私たちはA社様の管理職様のマネジメント力強化に取り組んでいました。
そこで某研修会社にA社様でのコーチング研修を依頼しました。参加者はA者様の管理職様です。(私たちは知らないい間にできた「コーチングライセンス」を取っていないので、外部に依頼したわけです)。
研修後、修了アンケートを取ったところ、ほとんどが「難しい」という答えでした。
私たちが見学していても「コーチングのスキル」は20年前と全く変わっていません。
そしてやはりコーチングを受けた参加者は客観的に見ていて
- 期待以上の答えを出せる人間
- 平凡な答えしか出せない人間
- 答えが出ずに固まってしまう人間
に分かれたのです。管理職であっても、この結果なのです。
地頭の良い人と悪い人を分けて考える
私は「コーチング」は流行っているが、やはり「使えない」と思いかけました。しかし、と思い直しました。
確かに「コーチング」は万人には効果はありません。しかし上記の1の人材の育成には有効なのです。であれば、マネジメント方法も相手によって変えればいいので、と思いました。
それは私たちのマネジメント理論「SARC」の具体的スキルとして使えるでしょう。
そこで、私たちにとって「やり直しコーチング」の研究を始めました。