「100年企業」を目指すために必要な能力は?
21世紀以降の「100年企業」になるためには、
- 多様化し変化する市場への即応
- 緊急事態への対応
- 大規模な事業環境変化への対応
の3つの能力を持っていることが必要です。1、2は既にご説明しましたし、ここ十年ほどのビジネス界では議論されてきた内容です。
しかし、中国とのデカップリングを始め、世界のビジネス地図は今後さらに大きく変貌しそうです。さらに2011年の東日本大震災の傷もまだ完全に癒え切っていない中、南海トラフ、首都直下、千島海溝・日本海溝を震源地とする、東日本大震災以上の巨大な地震が近い将来、起こると予測されています。あるいは今好調な日本経済の株価が、ある日突然暴落するかも知れません。これらが上記3です。
「フラット型組織」は1は対応可能ですが、2、3には混乱するだけです。では2、3はどのような組織であれば対応可能なのでしょうか。
正直に言って、悠長に検討する時間はありません。2も3もすぐそこまで来ている、企業が持つ潜在的なリスクなのです。
ところが現在、多くの企業様は1を目指している、または実践している段階でしょう。あるいは2のままのため業績が下降線をたどっているかもしれません。
それは組織として必要な能力です。しかしそれだけでは足りません。
市場対応、危機対応、急激な事業環境変化への対応。以上を可能にしなければ、100年企業にはなれないのです。
緊急事態対応はピラミッド組織が最適
ピラミッド型組織にメリットがあるのか?
職階が重層的に積みあがって、なかなか経営判断ができない、決済がもらえない。市場の実態にも対応できない。市場を1番知っている社員の情報や若手の斬新なアイデアを経営に取り入れられない。
これがピラミッド型組織が批判されている理由でしょう。もちろん確かにこれらは真実です。ですから通常に経営している時なら、ピラミッド型ではなくフラット型組織を志向することが、最適解です。
しかしピラミッド型組織もメリットを発揮できるタイミングはあるのです。それは
緊急事態が発生した時、会社が危機に陥った時、です。
危機対応の組織マネジメントの必須事項
緊急事態時に最も避けるべきは「船頭が多くして船、陸に上がる」という状況です。
確かに、社員が自分で状況判断し、自分なりに行動するのがフラット型組織の強みです。しかしそれを緊急時に当てはめると、全員が統制なく勝手なことをする。何も思いつかず呆然とする。という社員が続出して組織が混乱し、機能不全に陥ってることです。普段フラット型組織を志向している企業様に限って、バラバラな「部分最適」があちこちで発生します。
緊急時に最も効率よく問題解決するためには、以下の点が必須です。
- 「指示命令系統」を一本化する
- 全ての情報が組織を通じて確実に「責任者」に集まるようにする。
- 情報の上がる回線、情報を伝える回線も職階経由の一本にする(誰にも推測でモノを言わせない)。
- 判断・指示の権限は「責任者」1人に完全に与える
- 社員は完全に「手足」になって、何も自分で判断せず(仮にもっといい策があると思っても)言われたことだけを必死にする。
緊急事態の時には、このような組織マネジメントを行えば少なくとも問題は、余計な問題を連鎖的に発生させません。そして1つの目標に向かって、社員全員が個々の役割だけを全うするので、非常に効率的に問題が解決します。
緊急時にピラミッド型組織へ一瞬で変身する「フラミッド型組織🄬」
ピラミッド型組織の特性は緊急事態対応に合致している
今挙げた「緊急事態時」の組織マネジメントの必須事項が、実はピラミッド型組織の特性とかなりの点で合致することにお気づきですか?
緊急事態とは、たとえば
- 工場、倉庫、オフィスの火事
- 生命に関わる事故
- 生命に関わる製品の品質問題発生
- 上層部に近い人間の刑事事件関与の発覚
- 重大な法令違反
- 企業経営上の大きなトラブル発生
などです。たとえば火事の場合なら
- 発見者が総務部に連絡
- 総務部が前もって決めてある責任者と消防に連絡
- 責任者から工場長に消火と避難の担当リーダーへ指示
- 担当リーダーがメンバーに連絡
- メンバーが消火に各作業、避難の各作業を分担して実施
といった流れです。まさにピラミッド型組織の「考える人と動く人を明確に分ける」オペレーションだということがお分かりいただけるでしょう。物騒な話ですが「強い軍隊」はこの仕組みが実にしっかりできています。
緊急事態ごとにピラミッド型組織内の担当とルールを決める
ですから「緊急事態対応」が可能な企業様にするには、想定できる事態ごとに、前もって以下を決めておけばいいのです。
- どの緊急事態の時には
- 責任者(司令塔)は誰か
- 各社員の役割は何か
- 最優先ルールは何か
そして避難訓練ほどの頻繁さではなくても、シミュレーションをしておくのです。
特に重要なのは4です。なぜなら緊急事態の時には普段の「最優先のルール」以上の「最優先のルール」が設定される場合があるからです。
飲食店での緊急事態対応
身近な「緊急事態」では、ある飲食店に計画以上の大量な来店客があり、オーダーが溜まり、厨房が対応しきれず、できた料理も客席まで運べず冷めて行っているという状況があります。
これも「経営上の大トラブル」です。
この状況になったら店長は全スタッフに「緊急事態」を宣言します。するとフロアで料理を運んでいた1人が厨房に入るなど、決め事通りにスタッフは動きを変えます。
この時の「最優先ルール」は「店長の指示が絶対」ということです。普段であれば来店客に「すみませ~ん」などと声をかけられると、スタッフは厨房に戻るのを止めてそちらへ行くでしょう。普段の最優先ルールは「お客様第一」だからです。しかしこの時は、声をかけられても「少々お待ちくださ~い」と返事をし、とにかく厨房に戻ります。「運んだらすぐに戻れ」と店長に言われていたからです。
しかしこのようにトラブル対応に集中すると、溜ったオーダーがさばけ、料理が来ない来店客のイライラが解消し、店舗運営が通常に戻ります。
これを見極めて店長は「緊急事態」を解除し、いつもの「お客様第一」を最優先にして、スタッフは当初のポジションに戻ります。今回も店舗運営上の大トラブルを「緊急対応」によって乗り越えられました。
私たちはこのような
「フラット型組織」から一瞬で「ピラミッド型組織」に変容し緊急事態を乗り切る組織を「フラミッド型組織🄬」
と名付けました。
それぞれで考えれば「フラット型組織」マネジメントであり、「ピラミッド型組織」マネジメントですが、そのフォーマットを「一瞬で」変える、という仕組みを持っている点が革新的だ、と私たちは思っています。
フラミッド型組織🄬はフラット型組織の上位フォーマット
ですから今「フラット型組織」で運営している企業様は、そのバージョンアップとして「緊急対応型ピラミッド型組織」のフォーマットを用意しておきましょう。
それができれば、業績拡大にも対応でき、思わぬ大トラブルにも対応できる、本当の意味で強靭な組織に御社をすることができるでしょう。
また「緊急対応」というと数え切れないかも知れません。しかしよく分析し、御社の事業内容を考えれば、恐らく数パターンに収束すると思います。それに合わせた、先ほどの4項目をフォーマットとして決めておけばOKです。
もしもその作成に悩まれるようであれば、ご相談にも乗れると思います。
参考図書:「<15分で読める>ピンチは一丸、平時は個性発揮の会社を作る!!」
また、もっと詳しい「フラミッド型組織🄬」の作り方、オペレーションの仕方を「15分で読める」分かりやすい書籍「<15分で読める>ピンチは一丸、平時は個性発揮の会社を作る!!」として発売(税込み748円 電子書籍250円)しております。
よろしければそちらも併せてお読みください。